私達の行く先は天ではなかった。
第伍話 ミーティア・ファウストの場合⑥
私は趣味となっている文の吐き溜めをかき集め、囲炉裏に放ります。何度も何度も、放ります。一枚だけ残して、全て火にくべました。そしてもう必要のない羽をあらかた抜いていきます。
お姉様がこっちを見てくれないのなら、お姉様にこっちを向かせるまでです。
魔法の羽をかき集め、残った文を見ながらまだ白い布をなぞり始めます。布に私の思う通りの墨色の文字が浮かび上がります。私はなくなった羽の痛みに呻きながら、残った文も火にくべました。それから、文を写生した布をロープ状に捻っていきます。
「お姉様、私はあなたのことを来世でも愛していますから」
私は梁にロープ状の布を結びつけ、髪を少し抜いた後、ロープに首をかけました。
ミーティア・ファウストの場合⑤
2023/02/16 up